生物?環境
昆虫類の翅の起源を発生学的に解明 ~翅の起源に関わる側板は肢の付け根に由来する~
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図 フタホシコオロギの成虫(A)と、中期胚(B)、1齢幼虫(C)と成熟(11齢)幼虫(D)の中胸節~後胸節の拡大。中胸節のみ背板をピンク、肢の最基部節である亜基節をブルーで示している。矢印は背板‐肢境界(BTA)。成熟幼虫(D)で分かるように、胸部の側面を被う側板は肢の亜基節に由来する。また、翅(翅芽)本体は背板に起源する一方、翅の基部関節(点線で示した領域)は側板、つまり亜基節に由来する。また、翅の筋肉系も亜基節環節の内在筋(側板の内側にある)起源である。このように、翅システムは、「背板」と「肢の基部環節(亜基節、つまり側板)」に由来することになり、翅の「二元起源説」が強く支持される。成虫(A)で「中胸側板」「後胸側板」と示した領域は、肢の最基部節である亜基節に由来した側板で、その上端に背板から形成された翅本体が関節する。