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女性アスリートのトレーニング習慣は睡眠に特有の影響を及ぼす

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(Image by NatalyaDDD/Shutterstock)
 女性アスリートについて、日常的なトレーニング習慣の有無、月経の有無、月経周期などの要因が、睡眠中のエネルギー消費量や深い睡眠のステージ(徐波睡眠)に対して影響を与えることを明らかにしました。また、このような影響は、各要因の程度に応じて異なることが示唆されました。

 睡眠は、ヒトの生命維持に重要な役割を担っています。本研究では、女性アスリートについて、日常的なトレーニング習慣や生殖機能の違いが、睡眠中のエネルギー消費量や睡眠ステージに異なる現象を生じさせており、これらの現象は全て、睡眠中の深い睡眠のステージ(徐波睡眠、SWS)に関係して生じている可能性を見いだしました。特に、月経の有無と月経周期の違いによって、睡眠中のエネルギー消費量や睡眠ステージの変動パターンが異なることが明らかとなりました。さらに、月経周期での比較においては、日常的なトレーニング習慣を有するアスリートとそうではない一般女性とでは、生じる現象が異なり、ランナーのみが、睡眠中のエネルギー消費量とSWSのエネルギー消費量が卵胞期より黄体期で高値を示すことが明らかとなりました。このことは、一言で生殖機能の違いと言っても、その程度や運動習慣の有無で、睡眠中のエネルギー消費量や睡眠ステージに生じる現象が異なることを示唆しています。

 本研究では、トレーニング習慣、月経、月経周期などの各要因が睡眠にもたらす影響を、エネルギー代謝に着目して明らかにしました。今後さらに、これらの差異が生じるメカニズムを解明することで、女性アスリートの無月経に対する予防策や解決策の構築につながると考えられます。

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プレスリリース

研究代表者

365体育投注体育系
下山 寛之 助教
内沢 彰子 研究員

掲載論文

【題名】
Energy expenditure and slow-wave sleep in runners: focusing on reproductive function, chronic training, and sex
(ランナーのエネルギー消費と徐波睡眠:生殖機能、慢性的トレーニング、性別に着目して)
【掲載誌】
iScience
【DOI】
10.1016/j.isci.2024.111717

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