医療?健康
長時間座位時に生じる前腕皮膚血管機能低下は局所加温冷却で抑制される

血管機能の低下は心血管疾患をもたらします。本研究では、長時間の座位によって、前腕の皮膚血管拡張機能が低下することを示しました。一方で、局所的な皮膚の冷却と加温を交互に行うと、この機能低下が緩和されるだけでなく、皮膚血管収縮の反応性も向上することが明らかになりました。
日常生活では座って過ごす時間が長くなりがちですが、座りすぎは健康に悪影響を及ぼすことが知られています。特に、心血管疾患の原因となる血管機能が低下することが懸念されます。これまでの研究では、座りすぎによって足の血管機能が低下することが分かっていましたが、腕の血管への影響については十分に調べられていませんでした。そこで、本研究では、長時間座ることが前腕の皮膚血管に与える影響、および、これに対して皮膚を冷やしたり温めたりすることによる効果を調べました。
健常な若年者11人を対象とし、75分間にわたって座り続ける間に、腕の皮膚部位4か所に異なる温度の刺激を与えました。その結果、座り続けることで皮膚血管の拡張機能が低下していることが分かりました。しかしながら、皮膚の冷却と加温を交互に行うと、その低下が防げることも確認されました。一方、皮膚血管の収縮機能については、長時間座ることによる影響は見られませんでしたが、皮膚の冷却と加温を交互に行うとその機能が向上しました。
以上のことから、長時間座る際に皮膚への局所的な冷却と加温を交互に繰り返し行うことで、皮膚血管機能の低下を防ぐ可能性があることが明らかになりました。本研究成果は、室温の変化を利用するなど、血管機能の低下を防ぐ新しい方策の提案に貢献すると期待されます。
PDF資料
プレスリリース研究代表者
365体育投注体育系藤井 直人 准教授
富田 雄大 体育学学位プログラム博士前期課程1年
掲載論文
- 【題名】
-
Alternate Local Skin Cooling and Heating Ameliorates Impaired Forearm Skin Vasodilation Function Mediated by Prolonged Sitting.
(長時間座位による前腕皮膚の血管拡張機能の低下を局所的に皮膚の冷却と加温を繰り返すことが改善する) - 【掲載誌】
- Microvascular Research
- 【DOI】
- 10.1016/j.mvr.2025.104795
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